こんにちは!
2022年4月2日より公演がはじまったプレミア音楽朗読劇『VOICARION スプーンの盾』。
わたしは初日の昼公演を観に行ってきました。
下野さんのファンになって初めて参加する VOICARION。
一言
\ 想像以上に深いストーリーで感動。 /
これ朗読劇だよね?と思うくらい細かい演出や、引き込まれるストーリーを涙なしに観ることはできませんでした。
すべての公演が終了しているので、ネタバレありで『スプーンの盾』の感想と見どころを語りたいと思います。
スプーンの盾を観るにあたって読んだ本の紹介もしているので、気になったらチェックしてみてくださいね。
ハンカチ必須。
とっても感動しました!!
VOICARION『スプーンの盾』作品紹介
『スプーンの盾』は 藤沢文翁(ふじさわぶんおう)さん脚本の完全新作の朗読劇です。
大阪・東京の2都市にて公演されました。
4月2日~3日 | 大阪サンケイホールブリーゼ |
4月20日~26日 | 東京シアタークリエ |
キャストはカレーム、ナポレオン、タレーラン、マリーの4役ですが公演日により出演者の顔ぶれが異なりました。
同じ脚本でも演者が違うと雰囲気がずいぶん変わったようですね。
キャスト一覧
カレーム | ナポレオン | マリー | タレーラン |
下野紘 | 中井和哉 | 朴璐美 | 諏訪部順一 |
津田健次郎 | 山口勝平 | 沢城みゆき | 津田健次郎 |
島﨑信長 | 大塚明夫 | 日笠陽子 | 小野大輔 |
梶裕貴 | 平田広明 | ||
豊永利行 | |||
諏訪部順一 | |||
中村悠一 | |||
山口勝平 |
こうやって見るとカレーム役は8人ものキャストさんがいるんですね!
中には複数の役を演じたキャストさんもいるので驚きです。
キャストの組み合わせにより当日の料理の仕上がりがずいぶん変わるんだろう思うと、何度も劇場に足を運びたくなる気持ちが分かります。
4月2日の昼公演時間は途中20分の休憩をはさみ、3時間弱でした。
「スプーンの盾」あらすじ
フランス革命のあと
二人の無名の男が帝王となった。
一人は言わずと知れた皇帝ナポレオン・ボナパルト
そして、もう一人は料理の帝王と呼ばれるアントナン・カレーム
この時代
王侯貴族たちを料理で、饗(もてな)し説得する
いわゆる料理外交が頻繁に行われていた。
この物語は
料理の力で、血の一滴も流すことなくフランスを守った人々の
世界一美味しい戦争の物語。
VOICARION スプーンの盾 公式ホームページより
舞台は18世紀のフランス。
下野さん演じるカレームはフランス革命の混乱が始まる前に生まれました。
その彼を中心とした物語です。
「スプーンの盾」感想・見どころ
4月2日のキャスト
カレーム | 下野紘さん |
ナポレオン | 中井和哉さん |
マリー | 朴璐美さん |
タレーラン | 諏訪部順一さん |
感動的なストーリー展開
史実の流れを汲みながらテンポよく展開されていくストーリーはとても気持ちが良かったです。
料理の具体的な描写もあり、公演が終わった後はお腹ペコペコになりますね。
好きなシーン・印象に残ったシーン
- カレームとマリーのコミカルなやり取り
- カレームとナポレオンが厨房で語り合うシーン
- マリーとタレーランのやり取り(カレームを政治に巻き込まないで)
- ウィーン会議でのタレーランの演説(諏訪部さんの演説かっこ良かった!)
とにかく印象に残ったシーンはたくさんありました。
しかし何と言っても、「カレームの成長」に心を奪われたのは間違いありません。
冒頭のコミカルな巻き込まれキャラからタレーランやナポレオンとの出会いを経て、ウィーン会議ではタレーランを鼓舞する頼もしいキャラクターへと見事に成長しています。
そんなカレームの成長物語に胸が熱くなりました。
魅力的なキャスト
想像していたキャラクターと実際にキャストさんの演じたキャラクターが違っているのも楽しかったです。
カレーム
カレームには真面目でかたそうなイメージを持っていたので、最初は驚き、笑ってしまいました。
でも当時のカレームはまだ若く、下野さんが演じたキャラクターのようだったかもなぁと妙にしっくりきました!
つらい生い立ちをものともせず、常に向上心を持って料理に取り組む姿は本当にかっこいいなと感じました。
好奇心旺盛なカレームがもし日本料理に出会っていたらどんな感想を持つのだろう?
どんなマリアージュが生まれるのだろう?と想像しています。
下野さんが演じる芯があって優しく穏やかなカレーム大好き。
ナポレオン
強いイメージのナポレオンですが中井さんが演じるとあんなに人間味のあるナポレオンになるんですね。
軍人としての強気なナポレオン。下野さんがカレームの料理にはしゃぐ子どものようなナポレオン。失脚後マリーと話す人生を悟ったような柔らかいナポレオン。
いろいろな表情を見る(聞く)ことができて大満足です!
マリー
マリーという架空のキャラクターが加わることで物語の奥行きがぐっと増していたように感じます。
朴さん演じるマリーは客席まで訴えかける力が強く、特にタレーランに訴えるシーンでは彼女のセリフに涙しました。
終演後の朴さんのご挨拶も心がこもっていて素敵な方だなぁとほっこりしました。
タレーラン
実際もタレーランとナポレオンの関係があんな風だったらいいのになぁと思ってしまいました。
彼の存在がナポレオンを救っていたように感じました。
冷静沈着なタレーランがウィーン会議では祖国を守るため感情をむき出しにして演説する!
その姿は見事の一言に尽きました。
朗読劇とは思えない凝った演出
「プレミア音楽朗読劇」と題していることもあり、非常に豪華で舞台演出が作りこまれていると感じました。
舞台セットも当時の雰囲気が漂う粋なセット。
キャストの衣装や髪形も当時のフランス人をイメージして用意されていましたね。
終盤に出てくる大きな楕円(スプーンかな?)の周りには無数のスプーンが吊るされていて、「スプーンの盾」の強さを象徴しているようでした。
朗読劇を彩る音楽はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、そしてパーカッションの5名のミュージシャンで構成されていて素敵なアンサンブルを楽しめました!
特にパーカッションにはスプーンを用いた楽しい仕掛けがしてあり、目で見ても美味しい演奏でしたね。
観劇にあたって読んだ本『ぼくが伝えたいアントナン・カレームの心 お菓子とフランス料理の革命児』
「ナポレオン」「フランス革命」と学生時代に勉強したはずの世界史も記憶がありません
しかもことカレームに関しては名前すら聞いたことがないという始末。
わたしは少しでもこの時代のこと、そしてアントナン・カレームという人物のことを知っておきたいなと思ったのです。
なぜなら、下野さんが演じるから。
そこで読んだのが「パティシエ 千葉好男さんの著書『ぼくが伝えたいアントナン・カレームの心 お菓子とフランス料理の革命児』です。
この本に描かれているのは以下の内容です。
- カレームの生まれた時代のこと
- 修業時代
- タレーランとの出会い
- ナポレオンのエピソード
- カレームの晩年
歴史的な背景も難しい書き方でなく、著者が想像したストーリーや、カレームのルセット(レシピ)が掲載されていて楽しい読み物でした。
読んでよかった理由
- ストーリーにすっと入り込める
- 史実と創作の違いを楽しめる
- 朗読劇の中のエピソードをより楽しめる
ストーリーにすっと入り込める
18世紀のフランスに詳しい方はともかく、フランス革命すら怪しかったわたしは時代背景や料理の名前などを知っておくことができてストーリーを把握しやすかったです。
それぞれのキャラクターへの親近感もすぐにわきました。
史実と創作の違いを楽しめる
事前に史実を知っておいたことで、創作部分のエピソードが際立ちます。
個人的にはカレームとナポレオンのやりとりの想像が難しかったので胸アツな展開でした!
史実とは違うエピソード
朗読劇の中ではカレームとナポレオンが語り合うシーンも多く、非常に近しい存在として描かれていましたよね。
しかし史実において、『皇帝の料理人』と称されたカレームはナポレオンに直接仕えたことはなかったのです。
つまりカレームとナポレオンは直接会話をしたことがないと想像できます。
劇中ではあんなに語り合っていた二人なのに。
こんな風に史実とは違うエピソードを知ることも朗読劇のおもしろさを引き立てるのではないかと思います。
朗読劇中のエピソードをより楽しめる
Embed from Getty Imagesこの本の中に出てくるエピソードもあったりしたので、「あの時の話だな」と思い出せました。
また、架空の人物であるマリーですがあそこから名前をとったのかな?など想像を膨らますことも楽しいですよ。
かの有名なエクレアを考案したのはカレームというエピソードも載っていました。
わたしは観劇の前に読みましたが、観劇後の復習としてもオススメできます。
「あのシーンはこういうことだったのか!」と納得できることも多いと思うので、カレームやナポレオン、タレーランが生きた時代に興味が湧いたらぜひ読んでみてくださいね。
おわりに
18世紀のフランスが舞台の朗読劇。
4人のキャラクターが織りなすストーリーは人間味にあふれ見ているわたしの心にぐっと迫ってきました。
今日のキャストは今日だけの公演でしたが、様々なキャストがあなたを素敵な晩餐会に招待してくれたことでしょう。
そしてその朗読劇をより楽しむため、または見終わった後の余韻に浸るためにカレームの、ナポレオンの、タレーランの軌跡を辿るのも楽しいのではと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。